褥瘡のドレッシング材とは?種類と特徴、看護における観察ポイントを解説|一般社団法人日本終末期ケア協会

褥瘡のドレッシング材とは?種類と特徴、看護における観察ポイントを解説

2026.9.8 JTCAゼミ

目次

日々の看護の中で、褥瘡ケアはとても重要なケアのひとつです。

その中で、ドレッシング材について悩まれた経験はありませんか?
「今の回復過程では、何を選べば良いの?」「この素材の特徴がいまいち分からない…」と迷う場面もあるのではないでしょうか。

本記事では、褥瘡処置の際に使用されるドレッシング材(創傷被覆材)に関して、それぞれの特徴や選び方・活用場面、使用上の注意点やケア場面におけるポイントなどを解説していきます。

褥瘡ドレッシング材(創傷被覆材)とは何か?

褥瘡ドレッシング材とは、創面を保護すると同時に、湿潤環境を保ち、治癒を促す・早める為の医療用材料の総称です。
様々な種類があり、創部の状態に合わせて選択することがとても重要となります。

褥瘡の治癒を促す要素とは?

褥瘡の治癒を促す要素は、「体圧分散・ずれ対策」「湿潤環境を保つ」「栄養管理」「皮膚の保清」の4つがあります。

ドレッシング材は、湿潤環境を保つ・ずれ対策(保護)の役割を担っており、しっかりとした知識をもって選択できれば、治癒のみでなく褥瘡予防の観点からも大きな効果を発揮できます。

ドレッシング材を選ぶ際に着目するべき要素は?

ドレッシング材を選ぶ際に着目するべき要素は、「創部の深さ」「滲出液の量」「感染徴候の有無」です。

これらに加えて、創部がどの回復段階にあるのか?ポケットの形成の有無なども選択する際の重要な要素となってきます。

滲出液量は何を目安にしたら良いの?

どうしても主観的になりがちな滲出液量ですが、目安に関しては「ドレッシング材の湿潤具合」や「交換頻度」を基に、3段階に評価分類することが看護師のケアでは一般的です。

少量

乾燥〜ごく僅かに湿潤している状態で、傷口が乾燥している・ドレッシング材を毎日交換しても創面が僅かに湿っている程度・ガーゼなどがくっついてしまう程度が目安となります。

中等量

ジュクジュクはしているが適度な湿潤状態で、創部は湿潤しているが滲出液が溢れ出たりはしない程度・毎日の交換時にドレッシング材が5〜8割滲出液で埋まっている状態 が目安となります。また、周辺の皮膚が少しふやけた感じになる場合もあります。

多量

強い湿潤状態であり、創部から滲出液が常に溢れており衣類などまで 浸出している・毎日複数回交換してもリークする・周囲の皮膚が真っ白にふやけている状態が目安になります。

褥瘡ドレッシング材の目的とは?

ドレッシング材使用の目的としては、「湿潤環境を保つ」「創部を保護する」の大きく2つに分けられます。

「湿潤環境を保つ」とは、ドレッシング材で覆うことで乾燥を防ぎ細胞の移動を維持することでスムーズな皮膚の再生を促します。また、滲出液を適度に吸収・保持することで、滲出液に含まれる皮膚の再生成分をコントロールして創傷治癒を促すことができます。

創部の保護では、水分や細菌、排泄物などから物理的に保護し汚染を防ぐことができます。また、寝具や衣類とのずれを軽減したり、痛みの軽減を図る為のクッション材として機能し、身体・精神面への負担軽減が期待されます。

ドレッシング材の種類と特徴

ドレッシング材にはさまざまな種類があり、それぞれ適した創部や特徴が異なります。


ここからは、代表的なドレッシング材の特徴や使用場面について解説します。

・ハイドロコロイド

・ポリウレタンフィルム

・ポリウレタンフォーム

・ハイドロジェル

・ハイドロファイバー

ハイドロコロイド

□適応  :主に浅い褥瘡で滲出液量が少ない褥瘡

□特徴  :①湿潤環境を維持しやすい素材で乾燥を防ぐ

                  ②疼痛軽減

                  ③自己融解によるデブリードマン効果

□注意点 :①滲出液量が多い場合には浸軟しやすい

                  ②過剰な湿潤の場合感染リスクが増加する

□交換頻度:比較的乾燥した褥瘡に用いられる為、交換頻度は3〜7日毎と長め

□商品名 :デュオアクティブET(コンバテック)

                 バイオヘッシブ(アルケア)                 など

ポリウレタンフィルム

□適応  :発赤(D1相当)・表皮剥離・摩擦予防など、比較的形成初期の褥瘡

□特徴  :①フィルム状であり創部の観察ができる

                  ②防水性が高く創部の衛生維持に効果的

□注意点 :滲出液吸収能力に乏しい為、湿潤した創部には不向き

□商品名 :オプサイトウンド(スミス・アンド・ネフュー)

                 バイオクルーシブ(ジョンソン・エンド・ジョンソン)

                 カテリープFSロール(ニチバン)         など

ポリウレタンフォーム

□適応  :滲出液量が多い創部

                 肉芽形成期

□特徴  :①素材の吸収性が高く過剰な湿潤を抑えることができる

     ②創部の保護

                  ③感染予防

                  ④除圧時のクッション材としての効果

□注意点 :吸収性が高い点から乾燥した創部に使用すると過剰な乾燥を招く

□交換頻度:吸収性の高い素材となる為、交換頻度は少し多めの2〜5日程度が目安

□商品名 :ハイドロサイト(スミス・アンド・ネフュー)

                 メピレックス   (メンリッケヘルスケア)

                 ティエール(日本シグマックス)             など

ハイドロジェル・ハイドロゲル

□適応  :乾燥した壊死組織を含む滲出液量が少ない褥瘡

                 肉芽形成〜上皮化期などの乾燥傾向の創部

□特徴  :①不定形のゲル状の為、複雑な凹凸やポケット内にまで塗布・充填が可能

                 ②透明性が高い製品が多く、創部の観察が容易

                 ③自己融解デブリードマン効果

□注意点 :①吸水性が低いことによる浸軟リスク

     ②過剰な湿潤による感染リスク →感染創には適応外

     ③ゲル状の為、フィルムなどを用いての二次ドレッシングが必要

□商品名 :イントラサイトジェルシステム(スミス・アンド・ネフュー)

                  グラニュゲル(コンバテック)                など

ハイドロファイバー

□適応  :ポケットが形成されている褥瘡

     深い褥瘡

     滲出液量が多量の湿潤過剰な褥瘡が

□特徴  :①吸収性に非常に優れている

                 ②素材の形態上ポケット内への充填が可能

                    →滲出液を縦方向に吸収することができ、浸軟予防に効果的

□注意点 :過剰な充填は創部への負担が大きくなってしまう為、創底が埋まってしまわない程度に「ふんわりと置く」感覚の充填が重要な目安

□商品名 :アクアセルシリーズ(コンバテック)      など

そのほかのドレッシング材

その他のドレッシング材としては、出血傾向がある深い褥瘡で滲出液量が非常に多量の際に選択対象となるアルギン酸塩(商品名:ソーブサン・カルトスタットなど)や、感染が疑われる創や感染リスクが高い創に一時的に選択対象となる銀(Ag)含有ドレッシング材(各形状・素材に有り)などがあります。

ドレッシング材を交換する際の看護とポイント

ドレッシング材を交換する際のポイントとして特に大切になることは、「交換時に褥瘡のアセスメントをしっかり行う」ことです。

現在の褥瘡の状態をしっかりとアセスメントし、治癒に向けて最も適した環境を提供できるドレッシング材を選択することが、治癒促進・感染予防・進行防止につながります。

観察としては、「DESIGN-R」などを用いてのこまめな評価や、「TIME」の考え方を中心に、深さ・ポケット・滲出液の量・疼痛・悪臭などをしっかりと確認することが大切です。

*TIMEの考え方

    T(Tissue:組織)…壊死組織を除去し、創面を清浄化する

    I (Infection:感染)…感染・炎症徴候を抑制する

    M(Moisture:湿潤)…適度な湿潤環境を維持する

    E(Edge of wound:創縁)…:創縁の状態を整え、再生を促す

まとめ

 今回は、褥瘡ケアの中でもドレッシング材について解説しました。様々な種類がある中で最も適したものを選択し、より質の高いケアを提供する為に、日頃のケアを通してその方の状態や周辺環境などを適切に評価・アセスメントすることが重要です。日々のケアに活かしていきましょう。

参考文献

1.一般社団法人日本褥瘡学会編.褥瘡予防・管理ガイドライン 第5版.照林社.2022.

2.日本褥瘡学会学術教育委員会ガイドライン改訂委員会.褥瘡予防・管理ガイドライン(第5版).日本褥瘡学会誌.2022;24(1):29-85.

3.創傷・褥瘡・熱傷ガイドライン策定委員会(褥瘡グループ).創傷・褥瘡・熱傷ガイドライン(2023)―2 褥瘡診療ガイドライン(第3版).日本皮膚科学会雑誌.2023;133(12):2735-2797.

4.European Pressure Ulcer Advisory Panel, National Pressure Injury Advisory Panel, Pan Pacific Pressure Injury Alliance. Prevention and Treatment of Pressure Ulcers/Injuries: Clinical Practice Guideline. 2019.

5.Bryant RA, Nix DP. Acute and Chronic Wounds: Current Management Concepts. 6th ed. Elsevier. 2023.

6.Hess CT. Clinical Guide to Skin and Wound Care. 9th ed. Lippincott Williams & Wilkins. 2022.